なんちゃってディレクターのためのレシピ その2

Posted on 2012.09.27

Category: COLUMN_Mani




お待たせしました。なんちゃってディレクターのためのレシピの第二回です。
(第一回はこちらから)

前回のコラムでは、せっかくビデオカメラを購入頂いたのに、全く撮影まで辿り着けず恐縮でした。今回はその続きから参ります。

ステップ4 ライブを撮影しましょう。

いよいよ撮影です。素敵に撮りましょう。皆さんそれぞれに素敵の定義があるでしょうから、特に定められたルールはありません。一生懸命撮りましょう。

などとワークショップなどで言おうものなら、それが無料であっても物が飛んで来そうなくらい薄い内容になってしまいましたが、何事も順序がありますので、今回はこれで良いのです。

少しだけ申し上げるとすれば、ライブのビデオを”無機質な記録資料”とするか、もう少し”撮影者の意識を反映させたもの”にするか、という部分について考えてみたいと思います。

前者の”無機質な記録資料”というのは何かと問われれば、大部分のライブハウスの最後方に設置されている固定カメラで撮影されたビデオを見た事があるでしょうか。少し広めのライブハウスのモニタや、入口カウンターのモニタで映し出されている、アレです。

ここには撮影者の意識がほとんど介在せず、ステージ全体で何が起きているかのみが淡々と映し出されます。全体を俯瞰し続けるため、”あのナイスプレイを撮っていないなんて”ということにはなり得ません。そのかわり、固定カメラである以上、映像上のメリハリは薄くなります。

もし撮影対象のバンドメンバーが反省会を好む人々だった場合、この形式でも結構喜ばれます。ライブハウスに据え置かれた固定カメラでの撮影は有料のことが多いので、その撮影費が浮くからです。

しかしながら、これでは極端な話、あなたが行く意味が、あまりないのです。三脚を立てて、スイッチを押すだけで成り立ってしまうからです。

もちろん、これは固定カメラだが、アングルに物凄くこだわった作品性のあるものなのだ、という話もあるのですが、今回はやっぱり撮影者の意思をよりリアルタイムに反映させましょうよという方向で進めてもいいでしょうか。

バンド側や他の撮影スタッフの方から”固定で撮影してください”と言われた場合は、基本的にそれに従った方がいいでしょう。とは言え、自分の意見があれば伝えた方が後悔がなさそうです。

“意思を反映する”というのをザックリと申し上げると、”資料ではなく作品にする”と言い換えられそうです。

わたしは自分から”これは私の作品です”と言うのが好きではありませんが、それなりに人から”これはあなたの作品でしょう”と言われたい性格なので、どうも”作品”という言葉を使うのが恥ずかしいのですが、世界中のほぼ全ての”作品”は、制作者の意思を反映している、と言っていいでしょう。

(モダンアートの世界には、制作者の意図を一切含まない”作品”もあるようですが、今回は割愛します)

なので、思うがままに撮影しましょう。それがあなたの作品です。

出来るだけハードルを下げたいという思いから、ついつい過剰にシンプルになってしまいますが、これはこれで、田舎のカルチャーセンターでありそうな、偽善的な気持ち悪さがありますので、やはりもう少し補足するならば、

“思うがままでありつつ、そのバンドのファンが一番観たい”であろう部分を撮影したいところです。あなた自身、多少なりとも彼らのファンであるはずなので、基本的には思うがままに撮影すれば、自然とそうなるはずです。

あなたは自分の好きなバンドのライブビデオを見ていて、何だかイライラしたことはありませんか。

ボーカルが高らかに歌い上げているのに、別のパートのアップが映し出されたり、各パートの切り替わりがチカチカと早過ぎて、何だか落ち着かなかったり、逆に同じアングルばかりが妙に長くて、もっと違うところが見たいのに、と思ったことはないでしょうか。それは、少なくともあなたにとっては、良くないライブビデオです。

というわけで、ここからが あなたの出番です。よろしくお願い致します。こうしたイライラの少ないライブビデオは、往々にして優れたライブビデオであるはずです。

普通のライブビデオは複数のカメラで撮影し、それを編集するのですが、街のライブハウスのブッキングイベント等では、1台のカメラで頑張らなければならないことも多いので、撮影しながら編集するイメージです。

何だか一発勝負的で難しそうだし、曲を全部覚えなくてはいけないのですか、とも思われそうですが、完璧である必要はありません。常に完璧でなければならないのなら、わたしも商売を変えねばなりません。まずはやってみましょう。

“やりたいと思う人は1万人、実際にやる人は100人、続けられる人は1人”と言うそうなので、まずはその100人の中に、どうかいらしてくださいね。

と言ったところで、本日はこれまで。お疲れ様でした。もう少し続いてしまいそうです。


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