なんちゃってディレクターのためのレシピ その4

Posted on 2012.10.17

Category: COLUMN_Mani




さて、前回のコラムはまさか2012年にもなって”YouTubeの使い方を紹介する”という実にオールドファッションなものになってしまいましたが、順序立てて漏れのないつもりでお送りしております、なんちゃってディレクターのためのレシピは今回で第4回です。

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ステップ7 色々なバンドのライブを撮影しましょう

1つのバンドだけをずっと撮り続ける、ということもまた、とても素敵なことです。もし、どうしてもそのバンドだけを撮りたいのであれば、無理に他のバンドを撮影する必要はありません。

複数のバンドを撮影するのの何が良いかを申し上げると、まず第一に、撮影技術の向上が挙げられます。メインで撮影しているバンドのライブの他、同じ日に共演するバンドを(仮に2バンドとします)撮影した場合、合計3バンド分、単純計算で3倍の撮影練習が出来るわけです。共演者の場合、そのライブは初見となることも多いとは思いますが、ある程度ロックバンドのライブ撮影に慣れてくると、そろそろ歌い出しが来そうだ、とか、この辺りでギターソロだろう、と予想して、適切な方向にカメラを振れるようになるはずです。これが出来るようになると、1台のカメラでの撮影がすごく楽しくなると思います。

第二の利点は、知り合いが増えるということです。かつてのわたしは非常識な若者だったので、共演者のライブを勝手に撮影して、後日メールにて「こんなの撮りましたので、よろしければご覧下さいね」とやっていたものですが、やはり撮影前に楽屋なりで一言ご挨拶した方が良いと思います。彼らに撮影スタッフがいない場合、まず断られることはないと思います。これだけでもライブハウス界隈での知り合いが増えますが、撮影後、前回のコラムに記載した方法でビデオをアップロードし、そのURLを彼らにお知らせすると尚結構です。その動画が公開された暁には、あなたの撮影したビデオを視聴する人数は、どんどん増えていくことになるわけです。

ステップ8 撮りたいバンドが撮れなくなることを覚悟しておきましょう

1つのバンドだけをずっと撮り続けていたものの、残念ながら何らかの理由で彼らが解散する可能性は全くゼロではありません。彼らが霧消してしまった後も撮影者であろうとするためにも、いくつかのバンドのライブに足を運び、撮影対象がいなくなることへのリスクを分散させるのは重要なことです。

繰り返しになりますが、あなたの目的が「そのバンドだけを撮ること」だけなのであれば、その純粋性を大切にして下さい。

とは言え、幸いにしてそのバンドは解散することもなく、さらに幸運なことに、彼らの人気はうなぎのぼり、業界の大人たちが周囲に集まり出した頃、時としてその純粋性が裏切られる場合があることも、どうかご記憶下さい。嫌な言い方になりますが「あなたにとって、そのバンドが世界で唯一のバンド」と思っていようとも「そのバンドにとって、あなたが世界で唯一のカメラマン」とは限らないのです。

往々にして、売り出し中のバンドに対して、レーベル担当者やディレクターは、彼らの良心と経験によって、こうしてみよう、ああしてみよう、と言います。

その中には「いつも撮影してくれるカメラの、◎◎さんだっけ?PV撮れるんだったらお願いしようよ」と言うこともあるでしょうし、そうなればしめたものなのですが、逆に「最初のPVは◯◯さんっていうプロの人に撮影してもらうことになったよ」という話だってあります。

そうなると、残念ながらあなたは大なり小なり蚊帳の外になってしまうかもしれません。いくつかのバンドは、巡ってきたデビューのチャンスを逃すまいとして、そうした担当者の意見に従順になってしまうことがあるからです。その時、あなたがそのバンドへ傾けてきた想いが大きければ大きい程、傷もまた大きくなるでしょう。

勿論、バンド側が「いや、ずっと撮ってきてくれた◎◎さんにお願いしたいです」と言ってくれる場合もあります。これはあなたの仕事っぷり、もしくは、あなたの人間性、もしくは、その両方が彼らに高く評価されたに他なりません。大いに誇りましょう。最近は少しでもビデオにかかる予算を抑えたいという声を耳にしなくもないので、知り合いに頼んだ方が安上がりではないですか。という話なのですが、それでもレーベルサイドが首を縦に振らない場合もあります。

どうかここで挫けないで下さい。これは「挫けずに売り込みなさい」という意味ではありません。この場合、厳しい言い方になるかもしれませんが、あなたの実力が、バンドの実力に追い付いていなかったのかもしれないからです。それ故、バンドの実力に相応しい、別の撮影者を用意されてしまったのです。と考えて下さい。

これは無念なことです。けれど、今すぐには追い付けなくとも、いつか、絶対に追い付けるはずです。あなたが今以上に優れた仕事を続けていけば、暫く経った後に彼らや事務所の方から撮影の依頼が来るはずです。これは本当です。そして、実現するべきことです。

今まで撮影していたバンドが、存在するのに、撮影できなくなるという経験はなかなかに切ないことですが「いつかまた絶対撮ってやるぞ」という人生における目標が一つ増えるということは、後から思うと幸運に感じられます。あなたはバンドのおまけではなく、撮影者たる、あなた自身であるべきではありませんか。

と言ったところで、本日はこれまで。また来週にお会いしましょうね。


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