the ARROWS – DEADMAN GOES

Posted on 2012.11.07

Category: REVIEW_DISK


『DEADMAN GOES』。
メジャー・リリースも経験し、3年8ヶ月振り7作目となる本作に冠されたタイトルだ。
タイトル・トラックのMVや一連のプロモーションを観た方はご存知のように、”DEADMAN=ゾンビ”ではあるのだけど、ユーモアとセンスに溢れたメタファーでもあるとも読み取れる。
前作からの長いブランクを過ごした自らを”DEADMAN”と名乗り、再開を”GOES”と呼ぶ。
これは推測でしかないが、この”例え”は開き直りなどではなく、憤りのような想いからくる皮肉めいたものであるように思う。
そう捉えてみると、このタイトルは一流のユーモアであると同時に、強烈な決意表明でもあるかもしれない。
これまで多くのキャリアを重ねた彼等が、なんと本作では制作に関するその大半を自分達でこなしたというエピソードもそんな深読みに拍車をかける。

まず一聴して心踊ったのは、このブランクから放たれた本作がこれほどに軽やかなポップ音楽であったという事実。
また、細かく行き届いた編集、アレンジの手。そのセンスとアイデアの豊富さは比類のない域に達しているかもしれない。
NEW WAVE、HIP HOP、HOUSE、ROCKとソースは様々感じる事はできるものの、端的に音楽性を表現するに適した言葉を見つけさせてくれずまるで掴みどころが無い。
そして白眉たるは、言葉の乗せ方のひとつひとつのなんという気持ちの良さ。
リリックは文学的であるままにして、言葉や歌メロに脳を鷲掴みにされるような感覚に陥る。

“バンド”というと音源以上にライヴの重要度が高く語られているようにも感じるが、持論を言わせてもらえるのならば、優れた音源を作るという事は、聴き手と直接対峙できる”ライヴ”という場以上に時に重要だと考えている。
理由は簡単で、例えが大きくなるが「ザ・ビートルズのファンの中にどれだけそのライヴを観た人間がいるのだろうか。」とでも言えば伝わるだろうか。
演者にしても聴衆にしても、勿論ライヴの現場の方が快楽は大きいのは間違いないが、音源でしか接点を持つことが叶わないというのは事のほか多いし、月並みだが、いつでもいつまでもその音楽を誰もが聴くことができるというのはやはり大きい。

当然の事ながらライヴを軽視する訳ではなく、この『DEADMAN GOES』を引っ提げたライヴを観る事ができるのなら一人でも多く観て欲しい。
ただ、ライヴでしか感じられない熱もあれば、音源だけに込められた熱っていうのもあって、一度手にすればいつだってそれを感じる事ができるのだから、楽しまなきゃあ損ってものだ。


TEXT: Kazuhiro Yagihashi


『DEADMAN GOES』
2012.11.7 RELEASE
IROH-0001 iroha! records
¥2,500-(税込)

01:象とロープ
02:DEADMAN GOES
03:INTELLIGENT REPORT~ENTRANCE~
04:極彩色のメトロ~EXIT~
05:Chignon
06:KING KONG TOWER
07:OPBL
08:サワディカップ
09:Circle LR
10:ゼロ

the ARROWS公式サイト

「DEADMAN GOES」Music Video


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