- Interview – KAGERO 白水悠

Posted on 2014.10.16

Category: INTERVIEW




2014年10月15日、2年9ヶ月ぶりとなる4作目のフル・アルバム『KAGERO IV』をリリースしたKAGERO。
リリース毎にベストを更新するKAGEROへの期待を裏切らない仕上がりとなった本作についてや、USツアーを経て感じた事、そして今後の展望について、KIWA KIWAコラムでもお馴染みのリーダー白水悠の胸中に迫るべく話を聞いた。

interview by Kazuhiro Yagihashi & Kanae Chiziwa


-リリースも近くなってきたけど、最近考えてる事とか、自分たちの活動に対して思ってる事って何かあるかな?

白水:
去年アメリカに行ったことがデカくて、やっぱり文化とか国民性の差を感じたね。
暮らしていくには言葉も通じる日本が良いんだけど、アメリカはライブとか美術館とか手品だったり、表現者に対する溶け込み方が日本とは大きく違うなと思ってさ、ライブをやる上でのアメリカは凄く心地よかったんだよね。自然だった。やっぱり日本だと盛り上げないと盛り上がらないから。

-会場はどんなところでやったの?

白水:
4ヶ所でやったんだけど、パブっぽいところとか田舎とかレストランの地下とか。
アメリカって外でお酒が飲めないのよ。デラウェアとかニュージャージーは僕らがライブをやったような場所でしかお酒を飲む場所がなくて、だからその場に人がかなり集まってたね。ステージには僕らが立っているけど、あっちも「僕はこの音楽でこんなノリ方ができるぜ」みたいな、見られてる側・見てる側っていう絶対的な線じゃなくて、お互いが主役の高め合いみたいな感じだった。隣の人がのってなかろうが自分がその音楽を良い思えばのるし、お客さんもお客さんで主役なんだよね。

-結構海外でツアーとかまわってきたバンドに話を聞くと白水君が今言ってたことに近いことを言っていて、日本に帰ってきて自分たちのライブに対する理想が変わったって人もいるんだけど。
例えば、フラッとライブハウスに遊びに来て、カッコ良かったら踊って、演奏中でもみんなお酒買って、そうなったらチャージをとらなくても回っていくんじゃないかみたいな。
そこはそこで賛成なんだけど、でも、僕はやっぱり音楽の収入で生活して欲しいと考えているんだよね。
日本のライヴ環境をそうしたところでバンドが生活できるかというと違うと思ってて。
そういうライブハウスのシステムだったりバンドとしての収入面のことで考えることはあった?


白水:
なるほどね。バンドの動かし方とか儲け方となると、CD出して売れてライブをやればチケットが売れるっていうのを想像してたんだけど、今はCDも何千枚レベルで、ライブ会場も300から500人ていうレベルでもやり方でやっていけるんだよね。
物販だったり会場限定音源とか。チャージバックもそうだよね、結局はライブハウスとの関係性次第だから。
そうなると、バンドで食っていくってそんなに難しいことじゃないなって感覚なんだよね。お金持ちにはなれないけど。スキルと発想があって、サイクルがより良くなっていけば、音楽と表現に費やす時間も増えていくし。アメリカはCD売れないって聞いてたけど、会場なら売れるのよ。
だから僕はアメリカに行って収入や日本のライブハウスのシステムに関して考えるというよりは、ライブをやっているときの気持ちの問題での影響が大きいかな。
アメリカではあおらずにこちらで完結できるようなライブをしてもバーンと盛り上がってて、でも日本でもいけるかと思ったら出来なくて。
なんかこう、固まらせちゃうんだよね。それはそれで楽しんでないわけではないんだろうからいいんだけど。

-うん、リアクションの仕方が日本とアメリカでは違うってだけでね。

白水:
そうそう!でもそれだと相乗効果にならないからさ、多分いつどこでやっても同じライブになっちゃうんだよね。それじゃつまらないじゃん。
お客さんもお金払って時間さいて来てくれているのに、その日しかないものをライブとして見せるにはその方が絶対お互い良いだろうし。
だから今、日本でこういうライブをしたいっていうのが出来てきたから、じっと見るのが正しいとか踊るのが正しいとかないし、表現の根本管理じゃなくて、自分たちがやりたいライブをするためにはこちらがどうあるべきか。それをずっと模索してる。

-それはやっぱりアメリカに行ってから初めて考えるようになったの?

白水:
うん。アメリカに行かなかったら気が付かなかった。僕らの音楽って固まらせるだけなのかなって思っちゃってた。

-ライブハウスの現場って、踊ったり手を挙げたりが多い方が盛り上がってるって状況にはなるけど、そうならずにめちゃくちゃ感動してるってこともあるよね。
他のバンドにもよく聞くんだけど、KAGEROはフロアがわちゃわちゃーっとした盛り上がりを目指すのかとか、ライブをやったレスポンスとしてどういう空気になるものを目指したい?


白水:
今100やれてるわけじゃないんだけど、一人一人が自発的な表現をできる空間かな。だから、そこはどっちでもいいんだよね。

-周りの目とか気にせずに踊りたいやつは踊るし、じっと見てたいやつは見てるような?

白水:
そう。そういう価値観でいいんだよっていう。だから周りが手を叩いてるからって叩かなくてもいいし。
お決まりのところでサークルモッシュやりますよみたいなバンドもいるじゃん。そういうの凄く嫌だ(笑)
一つ一つの場の空気はこちら側でコントロール出来るんじゃないかって端々見えてきたりもしてて、フェスでもサーキットでもやっぱり固いなって感じるときはあるんだよね。
動きたいのに動けないみたいな。そういうのをこっちでなくせたらいいなって。
30分、1時間とできるだけ長い時間でね。それを試行錯誤中かな。そういうのは曲作りにも結構影響すると思う。



-ほかにライブの現場でやりたいことはある?

白水:
まだ明確に見えてないんだけど、KAGEROってジャンル分け出来ないからさ、対バンにしても誰とやればいいんだろうって考えてる。
最近色々やってわかってきたのが、ジャンルじゃなくて、結局は僕らが好きなところとやればいいんだろうなって。
「この人とやりたい!」ってとことやれば不思議と僕らのお客さんもそのバンドを見てくれるし。だからぶっちゃけワンマンより対バンのほうが好きだし、それをもっとやってデカくしていきたいね。

-今回アルバムに先駆けて配信限定シングルを発売して、自主企画も打って、気合いも勢いも感じるんだけど、その期間で考えていたこととか、提げてた思いはある?

白水:
そんなに普段と変わらないかな。3カ月くらいの準備期間でやってたときに時間がなくて、「これやりたかったのに!」って思ったことを今回は出来た。
アルバムで10数曲作ってて、でも正直アルバムのリード曲しか知らないってバンドもいるわけで、それって凄くもったいない。
色んな思いの中作ってきた曲だし、ビデオを作りたいなと思って。友達から勧められたりしてみんな初めはYouTubeから見るじゃん。
だから、ビデオを作ったり、配信限定シングルもそう、今回はアルバムのリードにならない曲でもKAGEROとして曲をピックアップすることができたから良かったと思う。
あと、今回ブックレットを入れたんですよ。解説ってほどじゃないんだけど一曲一曲に一言を入れて、裏がポスターになってるの。ネットが普及する中で買ってくれた人しか読めない文字情報っていいなと思って。
色んなとこに口出しして、本当にやりたいことが形になった作品になったと思う。

-色んなことやってたから結構ツメツメだったのかと思ったけど、じっくりやりたいことを出来たって感じだったんだね。

白水:
そうだね。じっくりじっくり出来たって感じで。
なんだろね、僕はヒマなのが嫌いだからなのかもしれないけど、周りのバンドマンたちが忙しい忙しいって言ってるのがわからない(笑)

-前のアルバムから2年9ヶ月ぶりのリリースになるけど、制作に取り掛かる上でメンバーと話し合ったことだったり、事前にコンセプトを決めたりとかはあったのかな?

白水:
特にないんだけど、やっぱり全曲を前作よりも良いものを作ろうっていう。
毎回新しいセットリストを組んでく感覚かな。その時のベストを入れる。



-来年の1月で10周年と聞いたんだけど、その節目に向けての意気込みだったり挑戦したいことはある?

白水:
挑戦したいことはあんまりないかな。ただ、10年経っちゃったんだなーって感覚は強いね(笑)
10年でまだここかよみたいな。だからあんまり10周年10周年言いたくないんだよね。挑戦というか、やりたいとしたら、ライブ盤を出したい。
ライブ盤好きなんだよね。ガキの頃とかライブ盤を中心に聴いてて、ベストみたいだしテンポも早いし、お客さんもワーッとなってて。

-海外だとデビューアルバムがライブ盤とかもあるしね。

白水:
そうそう。わがままを通せるならライブの盤を作りたい。

-今日はUSツアーというかライヴの話が中心になったけど、今回のアルバム『KAGEROIV』発売にあたってのコメントもあればもらえるかな?

白水:
毎回、今回のアルバムが1番良いって言えるのって当たり前じゃないんだなって。
デビュー作のリード曲で引っ張ってるバンドもいるし、うちはそうじゃないのが幸せだなって思う。最近のライブのセットリストもほとんど今回のアルバムからだし。
今までのアルバムを聴いてきた人が聴いても「おお!」ってなるものが出来たし、次にいったなって感じてもらえると思う。
逆に、初めて聴く人に「何がいいですか?」って聞かれても間違いなく「コレ!」って言えるものが出来たと思うね。1番入りやすくもあるんじゃないかな。
さっき散々ライブの話をしてたけど、僕、音源聴くの好きなんだよね。一発録りじゃなくて構築された音源、何度も重ね録りされたようなの凄く好きで。
KAGEROって今までそういう録り方をしてなくて、ライブのまま演奏してたの。
でも今回はクリックを鳴らすようにしたりして、重ね録りはしてないんだけど、自分の好みに出来たね。より音源という作り方をした。
昔はKAGEROはこうじゃなきゃいけないみたいな感覚があったのよ。こういうバンドだからみたいな。そういうのが自由になったね。

-ライブと音源は別物として聴いて欲しいって感覚もあるのかな?

白水:
そうだね。音源としてはこっちの方があるべき姿だと思うし、ライブはライブとしてあるべき姿があるなって。どっちもストレスがないように。

-うん、それは僕も凄くそう思う。
じゃあ最後に一言なにかあったらぶちかましてください(笑)


白水:
インストバンドだって意識があって聴かないっていうのはもったいないなって思うんだよね。世界的に見たら9割はインストバンドなんだから。そういう概念を突破できる一枚になったらいいな。
インストはちょっとなーって意識がある人を今日本で突破できるのはKAGEROだって言っといて(笑)




KAGERO / KAGEROIV
2014年10月15日発売
全12 曲収録
RAGC-007 ¥2,000(税抜)
01. OVERDRIVE
02. flower
03. Pile Bunker
04. sister
05. THE FOREST
06. HONEY BEE
07. 13 -Thirteen-
08. MY SLEEPING BEAUTY
09. LITTLE GARDEN
10. ill
11. The Spring Landscape
12. CRY BABY


KAGERO公式サイト
http://www.kagero.jp/


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