-Interview- I love you Orchestra 『Crack』(前編)

Posted on 2016.09.30

Category: INTERVIEW




9月14日に3rdアルバム『Crack』を発売したI love you Orchestra。
発売3ヶ月前の6月には同作の「全曲再現&レコーディングライヴ」を敢行して先にライヴ音源を配信したり、いくつかの店舗で先行発売を行ったりと、すでに多くのファンが耳にしているはず。
こうした既存の方法に捉われない手法で活動を続けて来た彼ら。
バンドのスタートから2年以上が経ち、メンバーそれぞれの中でI love you Orchestraの存在はどのように変化しているのだろうか。
前後編に及び彼らにインタビューを敢行した。

インタヴュー&文:岡本貴之

―まず最初に、マスクド・ノブさんが加入した経緯を教えてほしいのですが。

白水悠(Ba):いきなりそれ(笑)?あ、でもそうか、ちゃんとインタヴューで話したことってなかったもんね。去年の終わりくらいに、まあノブちゃんが個人的な理由で頻繁に音楽活動するのが難しくなっちゃってね。でも「参加できるときだけ参加する」ってのも中途半端だし「脱退」っていうのもネガティヴっていうかさ。別に全然ハッピーじゃないじゃん?

―確かに「I love you Orchestraからメンバー脱退」って聞いても、ハア?って思うかもしれないですね。そもそも脱退っていう概念がないというか(笑)。

白水:でしょ(笑)。だから最初は「ロボット・ノブ」を作ろうかと思ってて。工事現場のマシンとか置いとくかなーって(笑)。ilyoにしては珍しく、ちゃんとメンバー間で真剣な話もしたんだよね。「どうしようか?」って。ジムとかも真面目な意見言っててさ。「中途半端はよくないと思う」とか。

ジム(Gt):あははははは!

白水:まぁそんなこんなしてたらパーンって思い付いて。ロボットじゃなくてヒトのほうがいいかと。ヒトならギター弾けるしと。そんでまあ、こういうことになりました(笑)。

―というか、僕はノブさんが表立って活動できないからマスクを被ってギターを弾いてるんだと思ってたんですよ。

一同:え~!

大津一真(Dr):変身しました!みたいな(笑)。

白水:なるほど?!いや『魁!!クロマティ高校』って漫画があってね。「竹之内」っていうキャラがいて「マスクド・竹之内」ってキャラも別でいてさ。それが着想なだけなんだけどさ。だから僕の最初の想定ではみんながマスクドを「ノブちゃん」として接するはずだったんだけど、なんかもう「マスクドさん」っていう新しいキャラクターが確立されちゃったんで(笑)。そうか、ノブちゃんがマスクを被っていると思ってた人もいるのか。面白いなあ。

―そうしたら今日は違う人が来たので(笑)。改めましてよろしくお願いします。

マスクド・ノブ(Gt):よろしくお願いします。



―マスクは脱ぎたいとは思ってないんですか?

白水:それは僕らも一度聞いてみたいわ(笑)。

マスクド:う~ん…いや、でも僕はあくまで「マスクド・ノブ」なので。

一同:(爆笑)。

白水:彼はもともとはジムの弟子みたいな感じで、だからギター弾いてもらうなら彼しかいないだろって。電話して「ごめんちょっとマスク被ってほしいんだけど」って。「え、あ、はい」みたいな(笑)。でもマスクドさん、素顔のときとはやっぱなんか違うよね。アンプの上に乗っちゃったりとか。

マスクド:違いますね。別人になってる感じがしますね。やっぱりマスクの力だと思います。

ケンロー(Gt):もはやミュージシャンの発言じゃないな(笑)。

―では3rdアルバム『Crack』の話に行きましょう。本日発売ということで、おめでとうございます!

一同:ありがとうございます!

―とはいえ、3ヶ月前の6月19日に下北沢SHELTERで「全曲再現」&「公開ライヴレコーディング」を行っていますが、この時点ではまだレコーディングはしてなかったんですか?

白水:いや、もう全部終わってたよ。元々は6月発売の予定だったんだもん。2月のKAGEROクアトロワンマンが終わって、それからすぐ制作に入って。3月にはだいたい全部録り終わってた。色んな事情があって9月に延びちゃったんだわ。

― 一部店舗で先行発売した時点ですでに黒字化決定と聞きましたが。

白水:本当ありがたいことにね。だってさ、今回の店舗限定先行発売にしても「朝コア」にしても「1日東名阪ツアー」にしても、最初にアタマん中にあるのって「変なことをしたい」じゃないんだよね。「こうしたらいいじゃん」ってことを逆算してったら、たまたま「誰もやってないこと」になっちゃったってだけで。今はほら「CDが売れない」っていうけどさ、売れないからリリースペースを落としちゃうんじゃなくて、ちゃんと今の市場規模と市場原理を理解して「これくらい売れる」「こうすればもっと売れる」っていうのをしっかり把握して、それを逆算して製作費を組んで、そこからどう上積みしていくかって計算すれば、絶対黒字にできるでしょ。そしたらどんどんどんどん次の作品が創れるじゃん。今まではさ、今日みたいなリリース日にはメディアに広告出稿してインタビュー出して、レビュー載せてもらって、お店に挨拶回りして、でも2週間とかしたら次の新譜が入ってくるからお店の展開もなくなって。こんだけメディアと情報が溢れてるこの時代に、そういうのってどんだけ意味あんのかなって。だったら、ちゃんと僕らの作品を本気で売ってくれるお店、本気で推してくれるお店ってのは確実に存在するわけだし、そういうところでバリバリ売って頂こうよっていう発想。流れ作業みたいに「はい~営業が入ったんで並べます~次の来ました~お疲れさまでした~」って感じのものを創ってんじゃないからさ。情熱をこめて創ったから、情熱をこめて売って頂こうかなって。



―1stを出してからまだ1年半も経ってませんが、すでに3枚目。もちろん周りの反響があってのことだとは思いますが。

白水:そりゃもうほんとマジでそうですよ。赤字になったら次はないもん。感謝しかないです。

―今日はこれまでの活動を振り返って、メンバーそれぞれにとってilyoがどんな存在になっていうのか訊いてみたいんですが、その前にまず8月に行った「1日東名阪ツアー」についてなんですが、実際やってみてどうでしたか?

ケンロー:すごく面白かったのと、「全然キツくないじゃん!できるじゃん!」っていうのが正直な感想です。

カズマ:なんかもう今や3日かけてツアーをまわる方が全然キツいですよ。

白水:まぁでもほんと、面白がって参加してくれたお客さんがいてくれたおかげだけどね(笑)。

カズマ:ツアーバスが来た瞬間のテンションの上がり方はすごかったですよね。朝のライヴが終わって新宿にバスが迎えにきたとき、久々に修学旅行みたいな感じになってテンション上がりました(笑)。

白水:僕らは大阪終わるまでは一切お酒飲まないことにしてたから、行きはちゃんと静かに寝てたりしてて。でも帰りはバスの中でギャーギャー打ち上げしながら翌朝6時半くらいに東京に戻ってきて。

前川和彦(Dr):全然楽でしたね。バスが広いし(笑)。誰も運転しなくて良いというのも良かったですね。

ジム:お客さんによっては長距離に慣れてなくて酔っちゃったりした人もいたみたいでしたね。バンドマンは大阪とか普通に車で行くけど、そうじゃない人はやっぱり大変だよね。

白水:大阪って普通、東京から車で行くとこじゃねーもん!

ケンロー:こういうことやっていないと普通は行かないよね。あとスケジュールがどうしてもタイトだったこともあって、バス会社の方には負担をかけちゃったかなっていうのはありました。

白水:デメリットは現地ごとのお客さんとそんなに交流ができないっていう。「ごめん次があるから!」って。でもお客さん達が搬入・搬出を手伝ってくれてるあの感じは合宿みたいな異様な空気だったな(笑)。

―マスクドさんはずっとマスクでバスに乗ってたんですか?

白水:マスクドさんは別移動してますってテイで、普通に素顔で乗ってた(笑)。

ジム:僕のローディーというテイで(笑)。

白水:まあ別にそんな必死に正体を隠してるわけじゃないからね。

―ちなみにそのマスクは、最初に渡されたものをずっと被っているんですか。

マスクド:はい。被ってみたらちょうど良かったので。札幌遠征のときたまたま通った雑貨屋さんでプロレスのマスクが売っているところがあったんですよ。それで色々被ってみたんですけど「やっぱりこれが一番いいな」と思って。測ったようにサイズ感が顔に合ってるんですよね。

一同:あははははは!

白水:やっぱ「ザ・コブラ」がベストだったんだ(笑)!?。

―ところで、今まで白水さんが「考えたけど実行しなかった企画」ってあるんですか?

白水:そりゃたくさんあるよ!めちゃくちゃあるよ。思いついても「これ別に誰も喜ばないな」ってことはまぁやんないよね。でも酔っぱらってるときに「これやるわ」って言ったことは全部やってる。

―それはメンバー全員のコンセンサスを取って?

白水:いや、まったく取ってない(笑)。

前川:もう、決定事項が来るから(笑)。

ケンロー:でもユウちゃんが「やる」って言ったときには、もう勝算があるから言ってるっていうのがみんなわかってるから。「じゃあやろう」ってなりますね。

白水:ゲーム(オリジナルストーリーのRPGゲーム『WHO CRACKED THE WORLD』)もね。最初はマスクドさんがゲームとか詳しいから「ちょっと軽く探ってみてよ」ってお願いして。でも「これは結構大変そうですよ」ってなって。じゃあ無しかなーって思ったんだけど、試しに僕もやってみたら「いや、これいけるぞ」ってなって。

―え、あれは白水さんが創ったんですか?

白水:そうだよ。プログラミング知識が必要ないソフトがあるんだよ。KADOKAWAから出てるんだけど(笑)。「これはいけるぞ」ってなったんで「僕やります」って言って。そこからもう誰にも、レーベルからの連絡も無視するレベルで、完全に5日間篭って創った。

カズマ:5日後に俺らに「バグチェック版」が送られてきて。「ユウさん!壁が歩けます!」とか(笑)。

白水:「マジかー!」って。んなことしてねーで音楽創れやっつーね(笑)。だって外注しちゃったら800円じゃ売れないしさー。

ケンロー:普通に高い値段で売ってもしょうがないもんね(笑)。

白水:そうなのよ。でも作業はilyoの曲創りに近かったよ。創ってる時に使う集中力の感じとか。ハマっちゃうんだよね。ほぼ5日間、マジでベースも弾いてないんじゃねーかってくらい没頭してたな。

―そういうこともメンバーが楽しんでくれるからこそですよね。ilyoの始まりはKAGEROのサイドプロジェクトっていう形でしたけど、今はメンバーのみなさんにとってどんなものになっているのでしょうか?それぞれ帰る場所があってこその遊び場なのか、それともよりホームに近くなっているのか。

ケンロー:そういう意味で言えば、ホーム感は増してるかもしれないですね。たぶん「遊んでる」っていう感覚はずっと変わらないかもしれないけど、よりilyoとしてバンドのオリジナリティが確立できたかなっていうのはここ1年くらいで感じます。前はみんながただ集まって面白いことをやって遊ぶっていう、コンセプト的にそういうスタンスで始まってるからそういう印象が強かったですけど、去年のマレーシア・ツアーに行ったくらいから「ilyoの活動はこういうものなんだ」っていうものが、よりオリジナリティ化されたかなとは思います。そういう面でいえばホーム感が出てきましたね。活動する時間も圧倒的に増えてきたし、メンバー間の立ち位置を明確にそれぞれがわかっていると思うんですよ。前は、なんかよくわからないけど6人がドーンといるみたいな感じで。それを別にユウちゃんが言わなくても、自然と活動の中でみんなが見出してきて。それぞれがキャラ立ちしてきたし、バンドとしてワンランク上に行ったんじゃないかなって思います。



―ケンローさんはギタリストですけどステージではシンセも弾きますよね。

ケンロー:そうですね。楽器の演奏とかフレーズ、パートの役割もそうなんですけど、それ以外のライヴ中の見せ方としてそれぞれが何をするのか。今こいつはこれをするだろうから俺はこうしよう、とかっていうのがわかるようになってきて、それがだんだんカタチになってきてるんだと思います。

ジム:僕自体が、いま他で活動してるのがサポートでギターを弾いたりだとか、ローザ・パークスもボーカルが沖縄にいるし、っていう感じなので、ilyoに対してはすごくホーム感が強いですね。やっぱりケンローくんが言ったみたいに、マレーシアから帰ってきてからそうなった感じですね。

ケンロー:楽しかったし、表現の仕方っていう意味でも海外でやったことがすごく大きかったんです。

ジム:うん、そうだね。

ケンロー:僕らは海外でライヴをやったことがなくて、ユウちゃんから話は聞いてたけど、でもそれを身をもって経験したことで、表現するということがどういうことなのか、国籍や言語や文化が違う人に対して完全にアウェイなところで何をするのか。それがマレーシアで経験した一番大きなことでした。もちろん違う国でずっとメンバーといたっていうのも大きくて、その両方がガチって合わさって、そこからすごく変わって行ったと思いますね。あと、日本人ってすごくシャイでそれが良いところだとも思うんですけど、海外だと良いものに対してはあからさまに反響が跳ね返ってくるので、やっぱりそれがカルチャーショックでしたね。

ジム:ギタリストとしての関係も見えやすくなったかもしれないですね。特にマスクドさんが入ってからは。

マスクド:僕にとっては「修行の場」みたいな感じです。最初「マスク被ってライヴやって」って言われて、その1週間後にはもうライヴで。インストだし、楽曲のタッチが他とは全然違うので、今まで自分があんまりやらなかったことを1週間でやらないといけない。しかもその1か月後くらいにはもうツーマンで、10何曲を覚えないといけなくなって(笑)。とにかく最初の2ヶ月くらいはすごくツラい日々でした…。

白水:本当にすみませんでした…(笑)。

マスクド:それから解放されたと思ったら『Crack』が出るということで、ライヴでやるための6日間連続スタジオライヴがあって。もうついて行くしかない!その場所に行くしかない!という感じで。ジムさんとケンローさんにパートを渡されて、ある程度覚えて現場で音を出して、後は自分で、みたいな感じなんですけど。そこから自分の中に曲が入ってしまってからは「ライヴで自分はお客さんに何を見せたら良いんだろう」っていうことをやってきたので、あんまり全体のことは正直何も考えてないです(笑)。

―マスク越しで表情がわからないので「何も考えてない」と言われると確かにそう見えてきますね。

一同:あははははは!

マスクド:もともとilyoは即興性が高いので、毎回のライヴで同じ曲をやっても全く違うニュアンスになっていくんですよ。だから他の人の演奏を見ながら、スペースを探しながらやっているので、僕の中ではあっという間にライヴが終わっちゃうんですよね。

カズマ:大きい変化として、僕らドラムの立ち位置が変わったんですよ。今までは僕が前面の左側にいて、前川さんが真ん中だったんですけど、今年の春のツアー最中に位置を変更して。それまでは僕がクリックを聞いて演奏していたっていうこともあって、本当はなるべくタイトにしっかり叩かないといけなかったんですけど、僕は前にいるとついお客さんを煽りたがってしまうので(笑)。結果演奏がグシャってなってしまうこともあって。前川さんは後ろからでもお客さんを盛り上げにかかったりもするから、だったら場所を替えた方がいいだろって。後ろだとお客さんの目に最初に触れるポジションじゃないんで、ライヴでお客さんに対してワーって行くよりも演奏のことを第一に考えられることが増えましたし、今年に入ってからは『Crack』の曲を覚えてスタジオでやるときに結構ユウさんからダメ出しされたりもしますし(笑)。去年に比べると、ただ単純に集まってやるよりも、バンドとして考えることが多くなった気がしますね。僕は今までilyoを含めて3つのバンドをやっていたんですけど、去年から今年の頭にかけてあとの2つが解散してしまって(笑)。急にポカーンってなってたこともあって、尚更ilyoにホーム感が強くて。「いるいる!まだ俺友だちいる!」って(笑)。


―最近は、アシュラシンドロームに正式加入したんですよね。

カズマ:そうなんですよ。でもilyoとは客層も全然違いますし、ilyoでこの前札幌に行った時もアシュラシンドロームのお客さんが来てくれたりもしたので、良い相乗効果が生まれたら良いなって。おかげさまで面白おかしく楽しくやってます(笑)。

前川:まあ、みんなに全部言われちゃったんですけど(笑)。もともと僕は白水君だけが友だちで、そこから繋がってもっとみんなと仲良くなったというか、だから友だちが増えました!

一同:あははははは!

白水:超よかったじゃん(笑)!

前川:演奏面では、ドラムの立ち位置を替えたことで、叩くところが単純に減って、逆に難しくなったっていうのはありますね。

カズマ:セッティングもまるっと入れ替えだったので。前川さんは2タム1フロアのオーソドックスなセッティングだったので。

白水:前は前ちゃんにタムがあったんだけど、今はカズマにタムがあるから。

カズマ:前川さんは今、タム無しで3点(スネア・ハイハット・バスドラ)だけですね。

前川:今までと全然違う、初めてやるスタイルですね。

白水:3点と、あとサイリウムね(笑)。

前川:そう、サイリウムが俺の8割くらいを占めてます。サイリウム忘れたら何していいかわからない。

一同:(爆笑)

前川:あとは癒し系を担ってます。

カズマ:前川さんが前にいるとお客さんが笑顔になるから良いですよね。僕が煽ってもお客さんが怖がっちゃうので(笑)。ライヴだと「Sunshine Freeway」の間奏で“ウォ~~!”って叫ぶんですけど、あれが30分のライヴにおける僕の唯一の主張です(笑)。

―久しぶりにライヴを観た人からすると、だいぶ変わってるわけですね。

カズマ:久しく観ていない人からするとだいぶ変わってるでしょうね。

白水:なんたってノブちゃんがマスクマンになってっから(笑)。

―メンバーそれぞれの話を聞いた上で、白水さんはどんなことを感じてますか。

白水:やっぱりマレーシアは大きかったんじゃないかな。KAGEROにとってのアメリカが大きかったのと同じように。日本にいるとさ、気にしなくても良いことを気にしちゃったり、気にしなきゃいけないことを気にできなかったり、ちょっと表現のベクトルがおかしくなるときがあるんだよね。簡単に言えばレコ発がどうだとか。ライヴの後の打ち上げがどうだとか。ここでワンマンしたから次はここだとか。そういうことも確かに表現の一部なことはわかってて。でも海外にいると、下手したら殺されるかもしれないっていう環境じゃん。まぁilyoはそんな危ないところでやってはないんだけど、でもそんなの現地行くまでは全然わかんない。言語や文化の違いもある。マレーシアの2日目とかお客さんがみんなイスラムの方々でさ。女性もそういう服装(ヒジャブ)で。男性もお酒とか一切飲まずに、ひたすら厳粛に僕らの演奏をジーッと観てるっていう。でも曲が終わるごとに全開の笑顔で拍手してくれて。そういう心からヒリつく環境でのライヴって日本だけで生きてたらなかなかできないことで。そういうときにさ、ひとりの人間としての根本にある表現の力が出るというか。パフォーマンスも、「細かいこと気にしてらんねえ!」って。もうダイレクトなものしか伝わらないし、フェイクは絶対に見透かされる。そうなると、どうしても色んなことへの意識が変わっちゃうよね。最近ツイッターとかでもさ、ライヴにスマホで写真を撮るのはどうだとか、SNSへのシェアがどうとかあるじゃん?僕も前はそう思ってたよ。撮ってる暇あったらライヴ観ろよって。勝手に写真あげてんじゃねえよって。あったんだよね正直、そういう意識。日本ってそういう慣習あるじゃん。ライヴを録音しちゃあかんよーとかさ。

―まあ、コンプライアンス的なものが周知されているというか。

白水:そう。でもアメリカでもマレーシアでも、現地のひとたちがインスタグラムとかに僕らのライヴをガンガンあげてくれてて。「awesome sound!!」とかコメントつけてくれてさ。素直に「めちゃくちゃ嬉しい」って思ったんだよね。「今日のお客さん、インスタに上げてくれてんじゃん!」って。だから僕は日本でも写真撮ってもいいよ、SNSで共有してくれていいよって。マレーシアとかアメリカの人にそうされて嬉しいのに、日本の人はダメってのはよくわかんないから。向こうってメタリカとかウィーザーのライヴでもフロアお客さんが普通にスマホ掲げてるよね。まぁお国柄っちゃお国柄なのかもしれない。日本はガラパゴス的だし、古き良きを大事にする国だし。それがいいとこでもある。でももう僕らはその感覚を知っちゃったから。他のお客さんへのマナーさえ意識してくれれば、あとはご自由にどうぞって。ルール作るために音楽やってんじゃねーから。ルールから解き放たれるために音楽があるんでしょって。そういう意味で言うと、ilyoが一番変わったのってそういうとこかもしんないね。去年までは対外的なメッセージとかそんな込めてなかったんだよね。「仲間が集まってそれで楽しいじゃん」っていう。その感覚は今も変わらないんだけど、たぶん今は「なんでこれってこうなっちゃってるの?」とか「こうすればいいのに」みたいなことを言うようになってきた。「これやっちゃダメ」ってなってることに疑問を持ちって、ちゃんとそれをみんなに提示し始めた。昔から決まりごととかに疑問を持つタイプなんだけど(笑)、そういうメッセージを発信するっていう意味合いはもしかしたらKAGEROよりもilyoのほうが強くなってきたのかもしれない。だからバンドとしてやることがだんだん明確になってきてるんだよね。「1日東名阪ツアー」にしてもそういう発想。「なんで週末ごとに3日かけて回んの?一回家帰ったらそれツアーじゃないじゃん?」って。「1日で回ったらお客さんも僕らもハッピーじゃん?」って。「朝コア」にしても、シェルターで昼間にやってるチャージフリー2マンの「KITAZAWA VACATION」もそう。チャージフリーで東名阪回ったのもそう。今回のCDの売り方そう。こうすればこんなにCDが売れて僕らも嬉しい、僕らのことを本当に好きでいてくれるお店も嬉しい、アンテナ張ってるお客さんも早く手に入って嬉しい。じゃあそれでいいじゃんって。

―別に「誰もやってないことをやろう」が最初にあるわけじゃないってことですよね。

白水:「こうすればいいのに」って思ったことが、誰もやってなかっただけ。音楽業界サイドの慣習より「自分がお客さんだったらこう思うんじゃないかな」ってことを大事にしたいなって。ガキの頃には思わなかったけどねそんな事(笑)。転換DJを会話できるくらいの音量にしてるのもそう。今度の「FUZZ’EM ALL FEST. 2016」が再入場OKなのもそう。タイムテーブルを公表するのもそう。色々な禁止事項に色々な理由があるのはわかるんだけど、それをもっとちゃんと考えたいよねっていう。「なんでこれが禁止なのか」「その理由って本当に大事なことなのか」「なんでこうできないのか」っていうのをいっぱいいっぱい考えて、みんなにとって、僕らにとって、ハッピーなことをやりたいだけだよ。



後編を読む>>


-Release Informartion-

I love you Orchestra『Crack』
2,000円(本体)+税 RAGC-012
NOW ON SALE!!
[Track List]
01. Universe
02. Sunshine Freeway
03. Spoooon
04. Herb Is Justice
05. SAKURA
1st Album『 Stop Your Bitching(』RAGC-008)
2nd Album『 Fuse』(RAGC-009)
06. bye bye, your yesterdays
07. 兼六園 (Full ver.)
08. OFF LIMIT
09. Frankensteiner
10. Fuck Bumpkin Fuck
11. Crack
Bonus Track
12. small money, sweet honey( 絶叫する60 度 ver.)


-I love you Orchestra Profile-

Ba:白水悠 Gu:中平智也 Dr:大津一真 Dr:前川和彦 Gu:ケンロー Gu:マスクド・ノブ

パンク・ジャズ・ハードコアシーンを席巻する “孤高の異端児” KAGEROのベーシストでありバンマスの白水悠が「ファック大人の事情!」と言い放ち、気のしれた仲間を集めて2014年に突如結成。 「KAGEROでやったら怒られることをやる」を信条にライヴ活動を開始。既存の価値観・常識・慣習に魂を引かれた人々に一撃を食らわす活動を展開。
2015年2月、独立系レコードショプ限定カセットテープ「Sheep Chaser EP」を100本限定で突如リリース、発売1週間で各店舗売り切れ寸前の状態に(現在ソールドアウト!!)。 KAGEROのレーベル・スタッフを酒で酔わせ、勝手にアルバムのレコーディングを開始。3日間のレコーディングで完成させた1stアルバム「Stop Your Bitching」を2015年4月にメジャーレーベルKADOKAWAよりリリース。
4月より朝活GIG「朝コア」を開始、新宿ロフトで早朝7時から爆音を浴びさせかけるSっぷりで世間から羨望と戸惑いの眼差しを欲しいままに(読売新聞全国版生活面に掲載!!)。
そして5カ月後の9月、ウルトラハイペースで2ndアルバム「Fuse」をリリース。名阪仙、都内各フェス、果てはマレーシアツアーまで成功させ、ツアーファイナルは代官山UNITワンマンとやりたい放題。ツアー明けのハロウィンイベントでは「コスプレして来い」という主催者の意図をくみ取りすぎてスモーク+バックライト+ヘッドライトで姿が見えなくなる「ilyoザク仕様」を初披露。

2016年よりノブ(Gu)が六本木の風となったため、秘密兵器マスクド・ノブを投入。
アイドル「絶叫する60度」との狂乱のコラボ企画「Dockin’ On Heaven’s Door」(通称ドキノン)もワンシーズンごとに恒例化。3月には朝コア東名阪ツアー、6日間連続の超至近スタジオGIGを開催。
4月はマレーシアのプログレポストロックDirgahayuのジャパンツアーに帯同。チャージフリー東名阪3マン「afresh!!」も黒字化に成功。
マジメなオトナからの顰蹙・反感を一斉に浴びつつ、愛の爆音でこの腐りきった世界に一石を投じるべく、2016年9月に3rdアルバム「Crack」リリース決定。

I love you Orchestra 公式サイト
http://kagero.jp/ilyo/
I love you OrchestraオフィシャルTwitter
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