-Interview- 栃木・真岡市にある人気整骨院が、 完全自力で音楽イベント「林整骨院音楽祭2017」を開催する、その理由とは?

Posted on 2017.10.12

Category: INTERVIEW


11月3日(金・祝日)、栃木・宇都宮のライブハウスHEAVEN’S ROCK UTSUNOMIYA VJ-2にて、新たな音楽イベントがスタートする。
その名も「林整骨院音楽祭2017」。
そう、その冠にある通り、主催するのは栃木県・真岡(もおか)市にある林整骨院だ。無類の音楽好きである副院長・林氏が、栃木ではなかなか生で観る機会が少ないインディペンデントなミュージシャンを集めて開催する今回のフェス。
その開催に至る経緯と熱すぎる意気込みを、林氏本人に聞いてきました!

text&Interview by 森樹



都内に出ずとも、気軽に音楽好きが集まれる場を

「栃木って、やっぱり都内に比べるとライブハウスも少なくて。でも、ロック好きの人はたくさんいると思うし、そういう人たちと単純に仲良くなりたいというか、都内に行かずとも、気軽に集まる場を作ることができればと思っています」
――横浜・関内駅近くの喫茶店にて、屈託のない笑顔を見せながらイベントの開催動機を話してくれた男性。彼は、この日も「あらかじめ決められた恋人たちへ」のライブを観るため片道2時間以上(!)をかけて栃木・真岡市からやってきた、林世詩成(はやし・よしなり)氏、28歳である。林氏は現在、栃木県・真岡市にある整骨院「林整骨院」の副院長として、治療と運営、双方の面に関わり多忙な毎日を送っている。プライベートではライブハウス通いが趣味であったものの、2年前、都内から栃木に戻ったことでペースダウン。それが音楽への想いを高める結果となった。


↑主催者の林氏。営業を終えたその足でライブハウスに向かうこともあるというフットワークの良さは驚異的。

Vampilliaと地元のFEED以外は、初めて宇都宮でライブされる方ばかりなんですよ

「結婚して子供も出来て、それまで住んでいた高円寺から地元の真岡に帰ったとき、『ライブに通うのは月1回にしよう』と決めたんです。整骨院での仕事も子育ても楽しいし、地元の友達と遊ぶことも好きなのですが……どこかで満足できていない自分がいて。もっとライブを観たい、音楽を生で聴きたいという気持ちがだんだんと強くなっていったんです。それが今回、イベントを開催する動機のひとつですね」
 林氏は、GOING STEADY、ガガガSP、サンボマスターなど日本のパンクを好んで聴いていた学生時代を経て、都内にある柔道整復師の専門学校に通いはじめると、その趣味はよりディープに。envyやdownyといったポスト・ロック系や、前述のあら恋のほか、ROVOやtoeなど、インストバンドにもハマっていく。
 「僕が通っていた柔道整復師の専門学校が練馬にあったのですが、元バンドマンの先輩にいろんな音楽を教えてもらいました。卒業してからも、最初に就職した別の整骨院で高円寺と三鷹の店舗に配属されて。両店舗とも中央線沿いという土地柄もあり(笑)、患者さんからメジャー、インディー、洋邦問わずたくさんのアーティストを教えてもらいました。そこからさらにいろんなイベントを観に行くようになりましたね」
 ライブハウス通いがライフワークになった時期もあったが、24歳のとき、同じく音楽好きの奥様と結婚。ふたりの子供に恵まれたこともあり、地元・真岡に戻る。開業29年を迎える実家の整骨院の移転・リニューアルに奔走した時期を経て、ようやく運営も安定してきた中で、ふと音楽への熱が再燃する。まず林氏は、院内で「音楽会」を開催。テルミン奏者のクリテツ(あらかじめ決められた恋人たちへ)、ギター弾き語りのジョニー大蔵大臣(水中、それは苦しい)、高円寺のアイリッシュバンドpinch of snuffなどを招聘してきた。さらに昨年10月、宇都宮のサーキットフェス「TOKYO KAIDO」に参加したことが、本格的なイベント開催に彼を突き動かすことになった。
 「宇都宮のフェスでライブハウスの店長さんともに知り合いになって。『栃木で本格的なライブイベントをやりたいな』って思ったんです。特にインディー・シーンで活動されているミュージシャンは、メンバーの出身地であるとか、縁がないとなかなか栃木までは来てくれないので。実際、今回出演していただくミュージシャンの皆さんも、Vampilliaと宇都宮が地元のFEED以外は初めて宇都宮でライブされる方ばかりなんですよ」


↑整骨院での治療風景。院長である父にも、整骨院主催という形でのイベント開催を快諾してもらったそうだ。

子育てしている人にも来てもらいたい。だからこそ昼帯でのイベントに


栃木のシーンを盛り上げたいという想いのほかに、絶賛子育て中の彼らしいテーマもこのイベントには含まれている。イベントのオープンは12:00で、クローズは17:00予定。つまり、完全昼帯のイベントなのだ。
 「子育てをされている方にとって、休日と言えど夜に家を空けるのはなかなか難しいことなんです。まだお昼だったら融通がきく方も多いですし、家に帰っても家族でくつろぐことができるじゃないですか。また、都内を含めた遠方からのお客さんも、深夜にならずに帰宅できるので。ヘヴンズロックはロビーとライブスペースが分かれているので、ゆっくりくつろぎながら楽しんでもらえると思います」
 さらに若者をターゲットにしたグループ割など、様々な施策を行っている今回のイベント。ロビーには誰でも利用できる整体「石神井ハードコア整体」が出張営業するほか、フードとして人気ラーメン店「ジラフ」と「竹末」がコラボラーメンを限定販売するという。さすがは身体の調子を司る整骨院主催のフェス、ホスピタリティの充実も特徴だ。今回、ライブハウス、アーティストのブッキングをひとりでこなしている(!)という林氏の展望はどのようなものだろうか。
 「何のツテもなかったので、ほぼすべて体当たり的に出演交渉を行ったのですが、みなさん快く対応してくれてそれがすごく嬉しかったです。その皆さんの気持ちに応えるためにも、まずはイベントを成功させることを目指しています。もちろん、大好きなあら恋とか、これからも呼びたいアーティストはたくさんいるのですが、今回のイベントが終わったときに、どういう気持ちになっているか想像がつかないのが本音ですね」
 音楽関係者ではないひとりのファンが、イベントを開催するというのはとても勇気がいることだ。ミュージシャンとはビジネスパートナーとなるわけだし、ファンにとってはリスクとも言える。だが、林氏の音楽への熱い想いは「ファン」と「アーティスト」というボーダーすら飛び越えるほどのものであり、自力でその道を開拓している。そんな彼の熱意が、宇都宮から栃木のシーン全体にも波及するのもそう遠くはないかもしれない。そのスタートを確認できる「林整骨院音楽祭2017」、音楽ファンならば驚きも興奮も確実に期待できるイベントなので、ぜひ足を運んでもらいたい。


【ここからは、出演アーティストを林氏のコメントと共に公開!】※アーティスト名をクリックするとライブorPV映像が観られます


【speaker gain teardrop】
広島で活動しているシューゲイザーバンドです。僕はsgt.(ヴァイオリンを主体とするポスト・ロックバンド)が好きで、彼女たちの主催イベントを見に行ったときに彼らも出演していて、一発で惚れました。今回も最初に声を掛けて、快諾してもらいました。



【勝井祐二(ROVO/DEMI SEMI QUAVER etc)】
ROVOは大好きなバンドで、今年も日比谷野音での主催イベントに遊びにいきました。勝井さんが「ソロで各地を周りたい」とTweetしていたのを見てダメ元でお願いしたのですが、すごく対応も丁寧でレスポンスも早くて。出演してもらえるとなったときは興奮しました。


【Vampilla】
最近は戸川純さんともタッグを組んでいる10人編成のバンドで。出演依頼メールを送ったら「ステージにドラムセット2台置けますか?」と質問がきたことで改めて人数の多さを感じました。吉田達也さんと竜巻太郎さんも参加予定です!



【FEED】
宇都宮唯一のインストバンドらしいです。メンバー全員CHON(チョン。アメリカの4人組インスト・ポストロックバンド)が好きというだけであって、CHON好きな人にはたまらないサウンドだと思います。


【DALLJUB STEP CLUB】
あら恋に参加しているGOTOさんがリーダーを務めるバンドです。この前、はじめてライブを観に行ったのですが、めちゃくちゃカッコよくて。盛り上がれて、踊れるバンドだと思います。



【小林うてな】
D.A.N.のライブを観に行ったときに、サポートメンバーとしてスティールパンを演奏していたのがうてなさんで。クールな音に惹かれました。今回の出演アーティストの中で唯一の女性です。

【フード、整体、フライヤーデザイン……すべてに実力派が勢揃い!】
【FOOD】

ジラフ竹末コラボラーメン
二郎インスパイア系と呼ばれる中でも人気店である「ジラフ」と、東京にも店舗を持つ「竹末」が初コラボ。元々、ジラフと竹末の店長同士が同級生という縁があり、実現したとのこと。
【整体】
石神井ハードコア整体
専門学校時代の先輩であり、林氏の音楽趣味に多大な影響を与えた元ミュージシャンの整体師が、今回のイベントに出張。ロビースペースで整体を体験しつつ、音楽談義をしてみてはいかが。
【フライヤー】
惣田紗希
栃木県出身のグラフィックデザイナー、イラストレーター。ceroやうつくしきひかりのCDジャケット・デザインやアートワークを手掛けたことで知られる。
【撮影】
Kontroller
宇都宮を拠点に活動している撮影チーム。今回はライブの撮影を担当。

【林整骨院について】
林氏が副院長を務める「林整骨院」は、開業29年目の老舗整骨院。昨年、林氏が副院長として運営にも参画し、院の移転・リニューアルを主導。無印良品の家とコラボした清潔な院内に充実した設備、きめ細かなケアによって多くの患者が訪れる人気の整骨院だ。店内BGMは林氏の趣味でセレクトされている。


↑クリテツが登場した、音楽会Vol.1開催時。「音楽会」は、心地良い音楽と治療の組み合わせが魅力。

【イベント概要】
タイトル :林整骨院音楽祭2017
開催日時 :2017年11月3日(金・祝)
open 11:30分 start 12:00 / end 17:00
開催場所 :宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ-2
(栃木県宇都宮市宮園町5-33)
料金:前売3,500円 / 当日3,800円
※小学生以下入場無料
グループ割
3人 9,000円 / 4人 1,0000円
[取り扱い]
ヘヴンズロック宇都宮店頭
イープラス
林整骨院
連絡先:林整骨院 0285-82-2877
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